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新型コロナワクチンの接種について

新型コロナワクチンの接種を加速化するため、企業や大学での「職域接種」が6月21日から
可能とされ、一部の企業や大学では職域接種を実施しています。

企業で「職域接種」を行う場合には、どのような点に留意して実施すればよいのでしょうか。
ワクチン接種自体は業務ではありませんが、接種に費やす時間や副反応が出た場合の
労働時間や休暇の取扱いが気になるところです。厚生労働省の見解は次のとおりです。

<ワクチン接種に関する休暇や労働時間の取扱い>
職場における感染防止対策の観点からも、労働者の方が安心して新型コロナワクチンの
接種を受けられるよう、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに
活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。
また、①ワクチン接種や、接種後に副反応が発生した場合の療養などの場面に
活用できる休暇制度を新設することや、既存の病気休暇や失効年休積立制度(失効した
年次有給休暇を積み立てて、病気で療養する場合等に使えるようにする制度)等を
これらの場面にも活用できるよう見直すこと、②特段のペナルティなく労働者の中抜け
(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認め、その分終業時刻の繰り下げを
行うことなど)や出勤みなし(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認めた上で、
その時間は通常どおり労働したものとして取り扱うこと)を認めることなどは、
労働者が任意に利用できるものである限り、ワクチン接種を受けやすい環境の整備に
適うものであり、一般的には、労働者にとって不利益なものではなく、合理的であると
考えられることから、就業規則の変更を伴う場合であっても、変更後の就業規則を
周知することで効力が発生するものと考えられます(※)。
こうした対応に当たっては、新型コロナワクチンの接種を希望する労働者にとって
活用しやすいものになるよう、労働者の希望や意向も踏まえて御検討いただくことが重要です。
※ 常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合、就業規則の変更手続も必要です。

新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け) 問20より出典
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-20

また労務管理の側面からは、次の点も重要なポイントです。

①接種勧奨の適法性
接種勧奨についての定めは、市区町村が対象者に対して接種勧奨をすることのみ(予防
接種法8条)です。一般国民には原則として接種を受ける努力義務の規定が適用されて
います(同法9条)

②接種勧奨の限界
従業員が明確に拒否しているにもかかわらず、執拗に接種勧奨を行うことは「退職勧奨」と
同様に違法性が生じます。

③不利益取扱いの禁止
ワクチン接種の勧奨に応じないことを理由とする解雇、減給、配置転換、人事異動、
業務の制限は適切ではないとの政府見解があります(2月19日閣議決定)。

④採用・面接時に留意すべきこと
ワクチン接種の有無は、「要配慮個人情報」になり、採用面接時にワクチン接種の有無について
質問をすることや、採用条件としてワクチン接種を条件とすることは、不適切とされます。

ワクチン接種勧奨そのものを禁じる法令はありませんが、接種を受けていないことを理由とした
不利益取扱いは適切でない、というのが政府の見解です。
これらのポイントを念頭において、労務管理の措置を講じていただきたいと思います。
措置を講じるのにあたり、ご不明な点等ございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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